人間はなぜ鼻を閉じることはできないのだろう
私は匂いに敏感です。
その代わり耳がそこまで良くないです。
耳が良くないといっても、別に障害があるとかそういうわけではなく、
一般的に正常な耳であるわけで、生活に支障があるようなことはないのです。
ごにょごにょしゃべってる内容が聞き取りにくいくらいで
「ゲームしよう」が「全部終了」に聞こえたり、
「水くんできて」が「犬産んできて」に聞こえるくらいで、大した問題ではありません。
一度こんなことがありました。
3歳になる姪っ子ちゃんとお泊りすることになり、
さあ寝ようと思って部屋の電気を消して横になったときのことです。
姪っ子ちゃんがしきりに「古式泳法」と訴えてくるのです。
はて、古式泳法とはどうしたことか。先日一緒にプールへ遊びにいったが、
そういった泳ぎ方を覚えたいということなのか。
誰がこのような言葉を一体教えたのか。不思議でしょうがなかった。
だが、なんのことはない。
彼女は「星きれいよ」と言っていただけなのだった。
まあ、そんな耳話はどうでもよくて、鼻の話なのです。
人間、5感のうち、どこかが悪いと、逆にどこかが研ぎ澄まされる、なんてよく言われますが、私の場合は耳が聞こえにくいかわりに、鼻がとても効くのです。
これが、とても困ったものなのです。
匂いに敏感というのは、たまに良い効用もあります。
「ん、焦げ臭くない?」と言って火事を未然に防いだことも数十回。
食べ物も食べる前に腐っているかとかが、おおよそ判別できます。
しかし、悪い効用を及ぼす場合がほとんどなのです。
それは、電車等、公共の場へ行った時に、臭い物・場所や臭い人が周りにいる事による問題です。
多くは、電車や車での移動による問題がほとんどなのですが、
臭い所の近くにわり当たってしまうと、もう大変なのです。
なんせ、人一番鼻が効くわけなので、臭さも倍増。
臭いながらも嗅ぎ分けができるので、これはワキの臭いだとか、これは油臭いとか
分析してしまう自分にもほとほと嫌気が差してしまいます。
これが、うるさいとか、変な格好をしている人がいる、とかの問題ならば、
我慢することができると思います。
耳栓をするなり、目を閉じて見えないようにしてしまえば良いのです。
ですが、匂いの場合はそうは行かないのです。
鼻を閉じる機能が人間には備わっていないからです。
鼻栓をするというのもいただけません。とても恥ずかしくて公共の場にはいられません。
人間は匂いによる外部からの侵略に対して、あまりにも脆弱だったのです。
私がゾウだったなら、長い鼻の先を閉じてくるくる丸めて匂いを耐えることが可能かもしれません。
しかし、ただただ、匂いを嗅ぎ続け、我慢をするしかないわけなのです。
私は人一倍鼻が効くためか、口呼吸に切り替えても微量の空気が鼻に入り、匂いを感じてしまいます。
音なら、耳に指を突っ込むのもありですが、ただの一般人が鼻に指を突っ込んでいたら間抜けです。
ああ、どうして人間は鼻を閉じることができるように進化しなかったのでしょうか。
願わくば、鼻栓がオシャレアイテムとならんことを。